先天性心臓弁膜症及び特発性拡張型心筋症に関する話です. ストーリーは,伊勢市の"秋庭里香"という人物が遺伝性の心臓病の手術に挑むというもの.
電撃文庫から第8巻まで出版されています.その他,テレビドラマや実写映画にもなっています.
See also:
http://en.wikipedia.org/wiki/Hanbun_no_Tsuki_ga_Noboru_Sora
http://ko.wikipedia.org/wiki/반쪽_달이_떠오르는_하늘
以下,本編からかじった知識をまとめます.
先天性心臓弁膜症
心臓にある2つずつの心房・心室の境界,及び動脈の接続部にある弁が,正しく稼働しない病気.開胸手術により弁置換する事で治療する. 弁の破損や硬化等が原因らしいが,年齢や文脈から考えて本作の場合は恐らく前者.この手術がうまく行かなかったため,”秋庭里香”の余命は5年前後とされている.
閉鎖不全の弁の場所により手術が異なるが,たまたま見つけた僧帽弁膜についての日本心臓血管外科学会の論文を読むと,次の事がわかった.
・体外循環,心停止液による心保護を伴う開胸術になる.
・狭窄の場合は,直視下交連切開術を行う.
・再手術の可能性がかなり高い.
・弁形成術と弁置換術があり,後者の場合患者は抗凝固剤の服用が必要になる.
特発性拡張型心筋症
心臓が拡張し,動脈に血液を送り出す能力が低下する病気.
根本解決は心臓移植のみとされ,5年生存率は約50%.
ドナーが見つからない場合は,バチスタ手術(自身の心臓の左心室の一部を切り取り形を整える)という選択肢もあるが,成功率が低い.
劇場版
実写映画化したものを4月頃放映していたようです.そのとき知っていれば見に行きたかった...
http://www.hantsuki-movie.com/
基本的にストーリーは原作と同じようです.公式サイトで予告編を見れますが,砲台山をうまく実写で再現しているようです.
また,日本心臓財団を応援しているとのこと.
http://www.jhf.or.jp/magazine/backnumber/2010/no56.html
研究はこうやって社会に貢献するんですね.