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Scratchの授業実践報告を読んで

先月号の情報処理に,青山学院大学の伊藤一成氏のScratchを用いた授業実践報告が掲載されていました.
Scratchというのは,簡単に言うと小学生でもできるほど使用が簡単なプログラミング環境のこと.競合製品にSqueak eToysなどがあります.

大学の授業にScratchを導入したのは,以下のような背景があったからとのこと.

・言語仕様と,ロジックやアルゴリズムを同時並行で学習させると,学生はプログラミングを嫌悪する恐れがある.
・命令自体をどう書けばいいか分からない という白旗状態に陥る恐れがある.

さらに,以下のような背景があり,大学の全学生に配布しているiPhoneを使用したとのこと.

・一般的に開発者は,デュアルディスプレイ環境でAPIリファレンス(Javadocのようなもの?)と開発環境を同時に表示することが推奨されていて,これにより集中力を切ることなく開発できるが,授業中の学生の開発環境はディスプレイが1つしかない.


Scratchの導入については,本来児童のアイデアを実現するための道具を学生に与えることで,プログラミング技法を教えなくても学生が自ら試行錯誤の上身につける結果が見られた.
また,iPhoneの導入については,開発PCとセットでマルチディスプレイのような環境を実現することで,両者の機能を完全に分離できた.加えて,登下校中やバイトの休み時間などの細かな空き時間にも,予習復習することができるようになったとのこと.


私が個人的に疑問に思う点は,以下の2点です.

・Scratchの課題を表示するだけならiPhoneの小さな画面でも大丈夫かもしれないが,APIリファレンスをiPhoneで表示するのは少し苦しそうなイメージが.
・情報系の学部で,この授業実践と同様に1セメスターの授業をScratchに割り当てると,言語仕様の習得が後回しになり,後々のペース配分に影響が出る恐れが.

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2011年02月01日 02:00に投稿されたエントリーのページです。

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